ギャッベ(ギャベ)とはどんな絨毯?

イランの遊牧民カシュガイ族の生活必需品
ギャッベは元々、イランのザクロス山脈で生計を立てている遊牧民のカシュガイ族が、テントの中で使用するために作られていました。

まるで浮いているかのような浮遊感
テントの中で、固い地面に敷いても痛くないよう毛足は長く、地面を感じにくいようにできており、まるで浮いているかのような浮遊感があります。

100年以上続く耐久性
厳しい寒暖差のある高地での遊牧生活にも耐えられるよう、調湿効果に優れたウール100%の糸を使用。直毛のため、撚った時に縮みにくく丈夫で耐久性にも優れた糸となり、その耐久性はなんと、100年以上続くともいわれています。親から子、子から孫へ長く使えば使うほど、思い出とともに味わいが出てくるのです。

織子さんの思いが詰まった、世界に1枚の絨毯
嫁入り道具としても使用されるギャッベは、その色や文様にそれぞれ意味があり、織子さんはその時の思いや考えをギャッベに込めて、1枚1枚丁寧に織り込みます。ギャッベ独特のデザインは、織子さんがその思いや考えを頭の中で描いているため、図面がこの世に存在しません。
そのため、世界に1枚しかない絨毯が出来上がるのです。

ギャッベの文様

●動物(羊・ヤギ)
遊牧の生活では羊やヤギの家畜は財産であることから、お金に不自由のない生活が続くように、また、生活を支えてくれる羊やヤギに感謝する思いが込められています。

●生命の樹
天空に向かって大きく茂る木の先の青い空は神様の座、幹の根元の方が今暮らしている世界ととらえています。また、同時に健康長寿への願いが込められています。

●ラクダ
1980年ごろまで遊牧民の移動手段として大いに活躍をしていたラクダ。たくさんラクダを飼っていることは成功の証でもありました。そういったことから、成功のシンボルの意味が込められています。

●四角水
がわき上がる井戸や水場を意味しています。水の確保が最も大変とされる遊牧生活で、井戸は彼らの命綱といえます。そのことから、井戸の文様はギャッベの特徴的なデザインとなっています。

●オオカミの足跡
オオカミは遊牧民にとって羊やヤギを襲う恐ろしい存在です。そんな悪役を織り込むことで、悪いものが入り込まないようにという魔よけの意味が込められています。

●人(女の子)
子孫繁栄、豊穣を意味しています。人間に留まらず、春の羊の出産たんさんであってほしいとの願いを込めています。
子孫繁栄、豊穣を意味しています。人間に留まらず、春の羊の出産たんさんであってほしいとの願いを込めています。
●鳥
神様からの使者といわれています。中でも、クジャクは優美な姿から、美の象徴として好んで用いられています。また、クジャクはイランでは初期の王の象徴でもありました。