絨毯ギャラリー社の大熊直子社長と行くギャッベの本場イラン研修:シーラーズ編
投稿日: 投稿者:MR.GABBEH

ハミッド・ゾランヴァリさんとシーラーズ

イランを代表する絨毯メーカー「ゾランヴァリ」。ギャッベの名を世界に広めたことで知られ、今も90歳を超えて健在な創業者ゴラム・レザー・ゾランヴァリ氏の想いが込められている会社です。現在は息子のハミッド・ゾランヴァリ氏が社長を務め、伝統を守りながら新たな歩みを進めています。今回の旅では、そのハミッド氏自らがシーラーズ空港まで迎えてくださるという、心温まるおもてなしから始まりました。初日はゾランヴァリ社の染色工場を訪れ、天然染料で彩られる糸づくりを学び、続いて歴史と文化の彩られた街シーラーズを散策。ギャッベの魅力と、この地の人々の温かさに触れる旅が始まりました。
ゾランヴァリ社のギャッベ染色工場

シーラーズ郊外にあるゾランヴァリ社の染色工場を訪ねました。天然染料によって生まれる、美しい色糸づくりを見学させていただきました。
300色以上をつくり出す染色博士

直子社長著の「GABBEH 遊牧民からの贈り物」にも登場する方で、「染色博士」と呼ばれるレザー・レザリさんにお話を伺いました(とても素晴らしい方なのですが、ものすごくフレンドリーに接してくださいました)。ザクロやクルミの皮、西洋茜やウコンなどの植物、さらにはサボテンに寄生するカイガラムシといった動物由来の染料まで使用するそうです。ゾランヴァリ社では織り子さんたちが紡いだ糸を集め、天然染料によって300色以上の色糸を生み出しているそうです。
草木染めの染色体験

続いて、巨大な釜に束ねた手紡ぎの羊毛を入れ、煮立てながら染色する様子を見学しました。職人さんたちは長い棒で糸をかき混ぜますが、実際に体験してみると糸の重さに驚きました(一人では持ち上げらなかったため、職人さんが持ち上げて渡してくださいました)。赤色に染めるのは、他の色の倍の時間をかけて染め上げるそうです!数人がかりで続ける重労働だそうですが、その先に深みのある色が生まれるそうです。使い終えた染料は畑の肥料として再利用され、自然に還っていく――ギャッベはまさに環境に優しい“究極のエコラグ”ですね!
遊牧民の手で織られたギャッベ

併設の倉庫では、織り上がったばかりのギャッベも見せていただきました。まだ仕上げ前のため、パイルはふっくらと密に詰まり、フェルトのような感触で、文様がぼんやりとしか見えません。しかし裏面を見ると、丁寧に織られた文様がはっきりと見えました!ここからシャーリングや洗い、乾燥、整形など多くの工程を経て、ようやく市場に並ぶ一枚となります。遊牧民の織り子さんが丁寧に織り上げたギャッベは、数々の手間をかけることで、ようやく暮らしを彩る特別な一枚になるということが実感できました。
シーラーズのゾランヴァリショップ

ハミッドさんに案内され、シーラーズの街にあるゾランヴァリのショップを訪ねました。
バザールの入口のゾランヴァリショップ

シーラーズのバザール入口近くにあるゾランヴァリのショップは、外観がガラス張りで明るく開放的でした。扉を開けると、店員さんが笑顔で迎えてくださいました。店内にはギャッベをはじめとする色々な商品が整然と並んでいて、とてもワクワクします。また、落ち着いた雰囲気のゾランヴァリショップから外を見ると、窓の外には賑やかなバザールを行き交う人々が見え、その光景を眺めるのがとても楽しかったです。
ステキなギャッベがたくさん

イランで人気(?)のスイーツ

ゾランヴァショップの店員さんが「ファルーデ」という伝統的なスイーツを買ってきてくださいました。見た目は素麺のようですが、でんぷんから作られた細い麺を凍らせたものが入っており、シロップはローズウォーターかレモンを選べます。今回は爽やかなレモンをいただきましたが、さっぱりとするかと思いきや…甘い!シーラーズならではの味でした。
シーラーズのヴァキールバザール

ハミッドさんに案内され、シーラーズ中心部にある伝統的なヴァキール・バザールを訪ねました。歴史と文化が息づく空間で、ペルシャ気分を五感で味わうことができました。
バザールのモスク

ヴァキール・バザールに隣接するヴァキール・モスクは、シーラーズを代表する歴史的建築のひとつです。入口には「ピンクモスク」として知られるナスィーロル・モスクにも見られる淡いピンク色のタイルで飾られたポーチが並び、とても優美な雰囲気です。内部にはアーチが並び、特に礼拝堂に林立する柱は48本もあるそうです。光と影が織りなす空間にうっとりしました。
カラフルな生地屋さん

市場を歩いていると、鮮やかな布を扱うお店がたくさんありました。これらの布は今も遊牧民の女性たちが衣装を仕立てるために買いに来るそうです。スパンコールやビーズが付いているものが多く、とても華やかでした。
スパイスをはじめ色々なものが売っている

ヴァキール・バザールに入ると、スパイスの香りがしてきます。クミンやターメリック、サフランなどが山のように積まれていてとても魅力的でした(思わず買ってしまいそうになりましたが、直子社長とはぐれてしまいそうになったため断念しました)。さらに進むと、民芸品や工芸品、馬具、古い木箱なども並んでいました。生活に根ざしたものから歴史を感じさせるものまで揃っていて、小さな発見の連続!バザールは、シーラーズの人々の暮らしと文化が凝縮された、まさに「香りと彩りの宝庫」でした。
迷路のようで一人では回れない

ヴァキール・バザールは通路が複雑に入り組んでいるので、まるで迷路のようでした。ふと曲がった先で思いがけないスパイス店や工芸品に出会えるので、小さな冒険ができました。…地元の方たちは迷わないのかなぁ?私は同じところをグルグル回ってしまいそうです。
シーラーズの観光名所

ハミッドさんの案内で、シーラーズを代表するカヴァーム園や、イランを代表する詩人ハーフェズを偲ぶ廟を訪れました。
カヴァーム園

カヴァーム園は、かつてカヴァーム家の庭園として造営され、現在はシラーズ大学(旧パフラヴィー大学)に属する博物館として公開されている場所です。建設はカジャール朝末期、1879〜1886年頃に Mirza Ibrahim Khan によって始められ、美しい鏡の間や細やかなタイル・漆喰・木彫装飾がステキでした。敷地約3,500㎡の園内には多数のオレンジの木が植えられており、“ナーレンジェスターン”(オレンジ園)の名にふさわしい優雅な空間となっています。1966年にはイブラヒーム・カヴァームにより大学に寄贈され、アジア・インスティテュートが設置されたそうです。色々素晴らしかったのですが、「太陽とライオン」の紋章が私のイチオシです!
ハーフェズ廟(ハーフェズびょう)

イランを代表する詩人ハーフェズ(1315–1390)は、「神秘の語り手」とも称され、その詩は今も人々を魅了し続けています。彼を偲ぶハーフェズ廟は、長い歴史の中で何度も修復や改築を繰り返し、現在の姿は20世紀にフランス人建築家アンドレ・ゴダールの設計によって整えられたものだそうです。廟の中心にある墓石は高い基壇に置かれ、八角形の柱に支えられたドームが覆っていて、ドームの内部の天井がとても鮮やかで素敵でした。
ギャッベの本場イランで仕入れているので安心です

ハミッドさんの案内でゾランヴァリ社の染色工場やシーラーズの街を巡り、迷路のようなヴァキール・バザールや美しい庭園、宮殿を訪れることができました。その中でも染色博士や染色工場のスタッフさんと出会えたことで、ギャッベ一枚一枚が特別な絨毯だと実感することができました。そしてミスターギャッベのギャッベは、直子社長をはじめ弊社のスタッフが、すべて現地で見て確かめているので、手に取ったときの安心感や価値は格別ですよ!